9月の「晤語の哲学」は、参加者8人(うち4人は初参加)+主催者2人の合計10人で行いました。
テーマは「〈主体的〉ってどんなこと?」。
とても難しいテーマでしたが、同時に、とても充実した議論ができました。
まず、さまざまなところでよく聞く「主体的に行動しなさい」という表現が含む「矛盾」の指摘からはじまりました。つまり、「主体的」であるように「しなさい」、と命令していることが「矛盾」だという指摘です。
そこで、なんでこれが「矛盾」なのかを考えていきました。
どうやら、主体的は「内」「自分」に関わることなのに、命令は「外」「他人」「社会」に関わることだから、そうした両者を結びつけることが「矛盾」になるのではないか、ということになりました。
また、外からの評価というのは、個々人の主体性を「比較」し、「数値」で表わそうとしますが、内的には、主体性は、その人自身にとっての「喜び」や「充実感」で測られるものではないか、という意見も出ました。
しかし、新たな問いかけとして出てきたのは、しばしば「外」からの刺激によって、ある人が初めて主体的になることがあるのではないか、ということ、また、人々は、しばしば、外的に評価されることを自分の「喜び」にして、外からの要求に適った自分を、自分の主体性と取り違えてしまうことがあるのではないか、ということでした。
人は、環境から切り離されて生きて行くことはできません。環境が人を育てるとも言えます。その意味では、「内」(自分)と「外」(環境)はそんなに簡単には切り離せないものなのかもしれません。
この環境のなかには、人との「関わり」もあるでしょう。そこから、人の主体性は、他人との安心できる関わりのなかではじめて育ってくるものだという意見も出ました。しかし、それに対して、安心できる他者との関わりよりも、逆境や違和感を感じる環境の中での方が、主体性が育つのではないか、という意見も出ました。
確かに、主体性が「目立つ」のは、逆境や違和感の中にあってこそ、と言えるかもしれません。しかし、そもそも逆境や違和感に立ち向かえるだけの「自立性」が育ってくるのは、安心できる他者との関わりを背景にしてだと考えることができるのではないでしょうか。
と、こんな感じの議論でした。
途中で議論がこんがらがって、ときどき迷宮に迷いこみそうになりながらも、なんとか最後まで活発な話し合いができました。
さて、次回は、10月13日(土)、午後2時〜4時の予定です。
場所は、いつものとおり、島根大学の学生市民交流ハウス「フラット」です。
次回のテーマが決まりましたら、あらためてご連絡いたします。
島根大学・神戸女学院大学の川瀬雅也と心身教育研究所の土江正司の共催で行っている哲学カフェ「晤語(ごご)の哲学」のご紹介です。
哲学カフェとは、ふだん話題にすることはないけれど、人生、社会、人間にとって本質的な問題(例えば、「生きがいって何?」「言葉って何?」など)について、ゆっくりとお茶を飲みながら、参加者みんなでアレコレと話しあい、考え、悩んでみるという企画です。ただし、本質的な問題ですから答えは出ません。むしろ、対話を通してとことん問いを深め、じっくり考えることがねらいです。
開催は原則月一回、土曜または日曜の午後、場所は島根大学学生市民交流ハウス FLAT(島根大学松江キャンパス正門進んで左手)です。
参加申込、問い合せは、下の「参加申込/問い合せ」フォームを利用し、名前、メールアドレスとともに送信してください。なお、参加費は不要です。
ちなみに、「晤語(ごご)」とは「相対してうちとけて語ること」という意味です。
2018年9月17日月曜日
2018年9月5日水曜日
10月の予定について
今月の哲学カフェ「晤語の哲学」は、以前お伝えしたとおり、9月15日(土)ですが、10月についても日時が決まりましたので、あらかじめお伝えしておきます。
10月の哲学カフェ「晤語の哲学」は、10月13日(土)、14時〜16時に、島根大学松江キャンパスの学生市民交流ハウスにて開催します。参加をご検討の方は日程を空けておいてください。
なお、テーマについては、9月の会のあとに検討し、またご連絡いたします。
10月の哲学カフェ「晤語の哲学」は、10月13日(土)、14時〜16時に、島根大学松江キャンパスの学生市民交流ハウスにて開催します。参加をご検討の方は日程を空けておいてください。
なお、テーマについては、9月の会のあとに検討し、またご連絡いたします。
2018年8月29日水曜日
参加申込の方法を変えました。
参加申込の方法を変更しましたので、お知らせいたします。
このブログ内に、新たに「参加申込/問い合せ」フォームを作成しました。(こんな便利な機能があるとは知りませんでした!)
今後、参加希望の方、また、「晤語の哲学」について問い合わせたい方は、この「参加申込/問い合せ」フォームを利用し、お名前、メールアドレスとともに、メッセージを送信してください。
よろしくお願いいたします。
このブログ内に、新たに「参加申込/問い合せ」フォームを作成しました。(こんな便利な機能があるとは知りませんでした!)
今後、参加希望の方、また、「晤語の哲学」について問い合わせたい方は、この「参加申込/問い合せ」フォームを利用し、お名前、メールアドレスとともに、メッセージを送信してください。
よろしくお願いいたします。
2018年8月28日火曜日
9月の哲学カフェのご案内
8月は、(主催者2人を除いて)8人の方にお集まりいただき、「〈成長する〉ってどういうこと?」をテーマに話し合いました。
いままで長く哲学カフェをしてきましたが、そのなかでも、今回は、とても中身の濃い、充実した対話ができたように思います。
いつものことですが、「成長」というテーマも奥が深いです。
そもそも、誰の成長を考えるかで、その意味合いも大きく変わってきます。今回は、おもに「自分の成長」に焦点を当てましたが、それにしても、何をもって「自分の成長」とするのか、非常に多義的です。それは「個々の能力の成長」なのでしょうか、それとも「全人格的成長」なのでしょうか? でも、「全人格的成長」って何でしょう?
また、今の世の中、成長することが強制されていて、みんな、「成長しなければならない」というプレッシャーの中で生きている、という意見もありました。
もしかしたら、社会から強制される成長(社会的成長)のモデル(模範)と、それぞれが実感している自分の成長(個人的成長)のリズム(これは人によってまちまちです)のあいだにズレがあり、それがプレッシャーの原因になっているのかもしれません。
また、人は、努力して成長するというよりも、むしろ、周りを取り巻く環境や対人関係によって「成長させられる」のではないか(つまり、成長は受動的なものである)という意見も出ました。
しかし、そうだとすると、「成長」にとって、個人の「主体性」は関係ないことになるのでしょうか・・・? などなど、こうして、あいかわらず次から次に新しい「問い」が湧き出してくるなかで、終了時間になってしまいました。しかし、それでも、本当に充実した二時間でした。
さて、ということで、次回、9月は、「8月の続き」というわけではないのですが、「〈主体的〉ってどんなこと?」をテーマに話し合ってみたいと思います。
9月の開催予定は以下のようになっています。参加希望の方は、下記の申込先(土江正司さん)までメールでお知らせください。また、今後、哲学カフェで話し合ってみたいテーマの希望があれば、合わせてお知らせください。その際、簡単に、テーマを思い立ったきっかけなどを添えてもらえたらと思います。
日時:9月15日(土) 14時~16時
場所:島根大学 学生市民交流ハウス FLAT
(島根大学松江キャンパス正門進んで左手)
(以下のキャンパスマップをご参照ください。
https://www.shimane-u.ac.jp/campus_maps/map_matsue.html)
テーマ:〈主体的〉ってどんなこと?
ファシリテータ:川瀬雅也(島根大学教授)
参加申込:tsuchie.shoji@gmail.com(土江正司)
(希望するテーマがある場合には一緒にどうぞ。)
2018年8月1日水曜日
8月の哲学カフェのご案内
次回の哲学カフェ「晤語の哲学」の開催についてお知らせいたします。
前回から心身教育研究所の土江正司さんと共催で行っていますが、次回以降、参加希望の方には参加申込をお願いすることにいたしました。参加希望の方は下の土江正司さんのメールアドレスまでご連絡ください。
また、今後は、みなさんからテーマの希望も寄せていただくことにしました。哲学カフェで話し合ってみたいテーマがあれば、同じく土江正司さんのメールアドレスまでご連絡ください。
では、以下、次回の日時、場所等をお知らせいたします。
日時:8月26日(日) 14時~16時
場所:島根大学 学生市民交流ハウス FLAT
(島根大学松江キャンパス正門進んで左手)
(以下のキャンパスマップをご参照ください。
https://www.shimane-u.ac.jp/campus_maps/map_matsue.html)
テーマ:〈成長する〉ってどういうこと?
(生物的な成長よりは、人間的・精神的な意味での成長について
考えてみたいと思っています。)
ファシリテータ:川瀬雅也(島根大学教授)
参加申込:tsuchie.shoji@gmail.com(土江正司)
(希望するテーマがある場合には一緒にどうぞ。)
連日、猛暑が続いています。熱中症などにならぬよう是非お気をつけください。
なお、このブログの更新の際、メールで更新内容を受信できます。
右の「メールで更新内容を受けとる」の下の空欄にメールアドレスを入力し、「Submit」をクリックし、画面にしたがって進むと、入力したアドレスに返信メールが届きます。その返信メールに表示されているインターネットアドレスをクリックすると、ご自分のメールアドレスが登録され、以後、ブログが更新されるたびに、更新内容をメールで受けとることができるようになります。登録しておくと、定期的にブログを開く必要がありませんので便利です。
なお、登録を解除するときは、送られてきたメールの下にある "To stop receiving these emails, you may unsubscribe now." の"unsubscribe now"をクリックし、次の画面で、"Yes, unsubscribe me now"をクリックしてください。これで登録解除できます。
前回から心身教育研究所の土江正司さんと共催で行っていますが、次回以降、参加希望の方には参加申込をお願いすることにいたしました。参加希望の方は下の土江正司さんのメールアドレスまでご連絡ください。
また、今後は、みなさんからテーマの希望も寄せていただくことにしました。哲学カフェで話し合ってみたいテーマがあれば、同じく土江正司さんのメールアドレスまでご連絡ください。
では、以下、次回の日時、場所等をお知らせいたします。
日時:8月26日(日) 14時~16時
場所:島根大学 学生市民交流ハウス FLAT
(島根大学松江キャンパス正門進んで左手)
(以下のキャンパスマップをご参照ください。
https://www.shimane-u.ac.jp/campus_maps/map_matsue.html)
テーマ:〈成長する〉ってどういうこと?
(生物的な成長よりは、人間的・精神的な意味での成長について
考えてみたいと思っています。)
ファシリテータ:川瀬雅也(島根大学教授)
参加申込:tsuchie.shoji@gmail.com(土江正司)
(希望するテーマがある場合には一緒にどうぞ。)
連日、猛暑が続いています。熱中症などにならぬよう是非お気をつけください。
なお、このブログの更新の際、メールで更新内容を受信できます。
右の「メールで更新内容を受けとる」の下の空欄にメールアドレスを入力し、「Submit」をクリックし、画面にしたがって進むと、入力したアドレスに返信メールが届きます。その返信メールに表示されているインターネットアドレスをクリックすると、ご自分のメールアドレスが登録され、以後、ブログが更新されるたびに、更新内容をメールで受けとることができるようになります。登録しておくと、定期的にブログを開く必要がありませんので便利です。
なお、登録を解除するときは、送られてきたメールの下にある "To stop receiving these emails, you may unsubscribe now." の"unsubscribe now"をクリックし、次の画面で、"Yes, unsubscribe me now"をクリックしてください。これで登録解除できます。
2018年7月6日金曜日
哲学カフェ〈晤語の哲学〉再起動!
このたび、スクールカウンセラーの土江正司さんからお誘いを受け、土江さんと共催で、哲学カフェ〈晤語の哲学〉を再開することになりました。
とりあえず、再開第一回は、試行的にやってみようということで、急きょ、来週の土曜日14日に開催することにしました。
急なことではありますが、もしご都合があえば、是非ご参加ください。
ただし、今回は、準備に時間がなく、いつもの会場を取れませんでしたので、場所は島根県民会館になりますので、ご注意ください。
以下に要領に記しておきます。
日時:7月14日(土) 14時~16時
場所:島根県民会館 205和室
テーマ:家族って何?
参加申込は不要です。参加希望の方は直接会場にお集まりください。
今回は、若干の会場費をお支払いいただくことになりますので、ご了承ください。
なお、来月以降もおよそ月一回のペースで継続の予定です。来月からは、島根大学の学生市民交流ハウスが利用可能です。
また、次回以降は、集まったみなさんから出してもらったテーマについて話し合うという形式も検討しています。
それでは、みなさんのご参加をお待ちしています。
とりあえず、再開第一回は、試行的にやってみようということで、急きょ、来週の土曜日14日に開催することにしました。
急なことではありますが、もしご都合があえば、是非ご参加ください。
ただし、今回は、準備に時間がなく、いつもの会場を取れませんでしたので、場所は島根県民会館になりますので、ご注意ください。
以下に要領に記しておきます。
日時:7月14日(土) 14時~16時
場所:島根県民会館 205和室
テーマ:家族って何?
参加申込は不要です。参加希望の方は直接会場にお集まりください。
今回は、若干の会場費をお支払いいただくことになりますので、ご了承ください。
なお、来月以降もおよそ月一回のペースで継続の予定です。来月からは、島根大学の学生市民交流ハウスが利用可能です。
また、次回以降は、集まったみなさんから出してもらったテーマについて話し合うという形式も検討しています。
それでは、みなさんのご参加をお待ちしています。
2017年9月8日金曜日
沈黙は内面性である。
「おしゃべりするというのはどういうことであろうか? それは黙することと語ることとのあいだの情熱的な選言を排除することである。ほんとうに黙することのできる者だけが、ほんとうに語ることができ、ほんとうに黙することのできる者だけがほんとうに行動することができる。沈黙は内面性である。おしゃべりはほんとうに語ることを先取りしてしまい、反省の所見は機先を制して行動を弱める。しかし沈黙をまもりうるがゆえにほんとうに語ることのできる人は、語るべき多くの話題をもたない、ただひとつの話題をもつばかりであろう。そしてその人は語るべき時と黙すべき時を見いだすであろう。おしゃべりは外延的にひろがっていく。つまり、おしゃべりはありとあらゆるものをおしゃべりの話題にし、そしてひっきりなしにしゃべりつづける。個人個人が足ることを知って心静かに、満ち足りて心ゆたかに、宗教的な内面性に甘んじて、心を内に向けているのではなくて、むしろ反省関係において心を外に向け、互いに求め合うような時代、〔…〕そのような時代には、おしゃべりが時(とき)を得顔(えがお)に栄える。〔…〕おしゃべりは沈黙の瞬間を恐れる、沈黙の瞬間は空虚さを暴露するだろうからである。」(キルケゴール、『現代の批判』、岩波文庫、88-89ページ)
おしゃべりをやめて、沈黙しよう。そして、沈黙を通して、語るべきことを再び語りはじめよう。
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