ちなみに、「晤語(ごご)」とは「相対してうちとけて語ること」という意味です。

2015年11月16日月曜日

十二月の「晤語の哲学」のご案内

 先日の十四日、松江での一回目の哲学カフェ「晤語(ごご)の哲学」が行われました。チラシ、フリーペーパー、新聞、インターネットなど、いろいろな手段で宣伝しましたが、何人くらいの方に来ていただけるのか不安でした。しかし、結局は15名もの方に(手伝いの学生も入っていますが)集まっていただき、哲学カフェとしてはちょうどよい人数で開催することができました。初回開催にもかかわらず、「勇気を奮って」、しかも雨の中、参加していただいた方々、ありがとうございました。
 対話も非常に活発に行われ、皆さん初めての参加とは思えないほど。ちょっと抽象的な内容から、自分が身近に感じていること、以前からつくづく思っていることなど、いろいろな思いを語って、意見を交わしていただき、こちらも改めて深く考えさせられました。慣れないうちはなかなか対話に参加できないということもありますが、聞いてるだけでも楽しいですよ。また次回が楽しみです。

 さて、その次回ですが、以下の要領で開催します。ご興味がおありの方は、ぜひ一度「試し」で参加してみてください。哲学カフェはまったくフリーです。継続しなければならないこともありませんし、時間途中から参加されてもいいし、途中で帰っても構いません。参加者の対話を聞いているだけでも問題ありません。とにかく、私たちは、月一回、どこかの土曜時~16時にカフェを開いていますので、どうぞお気軽にご参加ください。問い合わせもお気軽に。
で、次回は・・・。

日時:12月12日(土) 14時~16時
場所:島根大学 学生市民交流ハウス FLAT
   (島根大学松江キャンパス正門入ってすぐ)
テーマ:「〈本当の自分〉って何?」
参加費:無料
参加方法:当日、現地に集合。申し込み不要。
問い合せ先:0852-32-6284(直通) 島根大学教育学部 川瀬研究室
        kawase@edu.shimane-u.ac.jp


今回のテーマ:「〈本当の自分〉って何?」

 教員の仕事をしていると、よく学生から「友達に合わせて行動していたら〈本当の自分〉が何なのか分からなくなりました」などという相談を受けます。これは多くの人が若いうちに少なからず経験することなのかもしれません。「自分探し」などという言葉もよく使われますが、これも、いわば〈本当の自分〉を見失ってしまった人の「〈本当の自分〉探し」なのでしょう。しかし、一方で、「〈本当の自分〉など存在しない」という意見もよく聞きます。人間はどこにいても常に「仮面」をかぶって生きているだけだと。「人、人間、人格」などを意味する英語のパーソン(person)はラテン語のペルソナ(persona)が語源らしいですが、これは「仮面」を意味するということです。「人間」とは〈常に仮面をかぶって生きている存在〉ということなのでしょうか。仮面を脱ぐことはありえないのでしょうか。しかしそれでも、誰でもがいろいろな場面で「自分を偽っている」と感じることがあるということもまた否定できないことでしょう。では、そのように「〈自分を偽っている〉と感じている自分」とは、どんな自分なのでしょうか。それもまた仮面、つまり〈偽りの自分〉なのでしょうか? それとも、たとえ私たちが仮面を脱ぐことがないとしても、「自分は仮面を被っている」と知っているかぎり、それを知っている自分は〈本当の自分〉なのでしょうか。しかしそもそも、「自分」ってそんなにたくさんいるのでしょうか? 〈本当〉も〈偽り〉もなく、ただ〈一つの自分〉があるだけなのではないでしょうか? いったい〈本当の自分〉って何なのでしょうか?