ちなみに、「晤語(ごご)」とは「相対してうちとけて語ること」という意味です。

2019年8月30日金曜日

次回の開催日について

 哲学カフェ「晤語の哲学」の次回の開催日についてお知らせします。

 次回は、10月5日(土)14時〜16時 に開催します。
 場所は、いつもと同じ、島根大学松江キャンパス 学生市民交流ハウス です。

 当初は9月開催予定でしたが、少しずれこむことになりました。よろしくお願いいたします。

 参加を希望される方は、右の「参加申込/問い合せ」フォームから申し込みをお願いします。また、話し合うテーマの希望についても、同じフォームからお寄せ下さい。

2019年8月9日金曜日

7月の「晤語の哲学」のご報告

 今回は、参加者6名、主催者2名の計8名での開催でした。テーマは「お金って何?」。以前から扱ってみたいと思いつつ、思い切れなかったテーマですが、今回、参加者の方から出していただいた希望テーマの中にあったので、思い切って扱ってみました。しかし、「案の定」というか、やはり難しいテーマでした。
 まず、「お金」というと、どうしても、経済システムのほうに頭がいってしまいがちですが、むしろ、「哲学カフェ」としては、お金の「人間的意味」を焦点化しようということになりました。が、その「人間的意味」をどう捉えるかという点で、みなさんバラバラで、議論の展開としては弱かったように思います。
 今日は、そのなかでも三つの観点にしぼってまとめておこうと思います。
 一つは「価値」に関わることです。これは、主に、「お金」をネガティブに捉える観点だと言えます。金銭的な価値によって、それぞれの人の個人的価値が揺らいでしまう面があることが指摘されたり、また、金銭的な価値基準があまりにも分かりやすいので、非金銭的な価値が忘却されがちであることが指摘されました。例えば、自分にとって価値がある/ないにかかわらず、値段が高ければ価値があると思ってしまうとか、欲しくないものでも安く買えたら「得した」と思ってしまうとか。そして、そんなことに惑わされている間に「お金よりも大切な何か」を忘れてしまうと。
 二つ目の観点はお金が人と人の「媒介」をなすという観点です。この観点は、特に地域通貨を例として語られました。地域通貨の趣旨は、基本的には、貯蓄、財産、利益といったものではなく、誰でもが遠慮なしに相互扶助の関係に立てるようにするものだと思います。しかし、人間関係を合理的な「ギブ&テイク」の関係に還元するということに対してさえ、私たちのうちには、無意識的な抵抗感があることが指摘されました。
 三つ目は、目に見えない「気持ち」を目に見える形にしているのが「お金」なのではないか、という観点です。本当の意味での福祉、親切、思いやりというのは、本来、お金には換算できないものですが、私たちはすっかり、そうしたものもお金に換算することに慣れてしまっています(地域通貨もその一例です)。でも、それは悪いことばかりではなく、それによって、社会全体の「豊かさ」が増すならば、いいことなのではないかと指摘されました。もちろん、その場合の「豊かさ」とは、経済的なものだけでなく、心の豊かさも含みます。親切をお金に換えて、それでみんなが心豊かに暮らせるなら、それはいいことではないか、という意見です。
 私たちは、普段、すっかり「お金のシステム」に慣れきってしまっていますが、時には、その深い意味について考え直してみるのもいいかもしれません。