この度、川瀬が編者の一人をつとめた『ミシェル・アンリ読本』が法政大学出版局から刊行されました。左の欄をごらんください。
ミシェル・アンリは今年、生誕100年、没後20年となるフランスの哲学者です。生涯にわたって「私とは何か」という問題を徹底的に追究しました。アンリにとって「私」の本質は、歓びや苦しみという感情を通して、たえず実感されてくるものにほかなりません。〈私が私であること〉とは、私自身であることを歓ぶと同時に、それを苦しむことにほかなりません。歓びと苦しみが一つになった形で自分自身を実感すること、これが「自己」のあり方だとするのです。アンリは、そのような絶対的に内面的な自己の体験から出発して、西洋哲学史を読み直し、また、現代の文化のあり方、政治のあり方、さらには、芸術について、根本的なレベルから批判的に論究しました。
さらに、アンリは、哲学者であるだけでなく、小説家でもあり、四つの小説も執筆しています。そのうちの一作は、フランスでもっとも権威ある文学賞の一つ、ルノード賞を受賞しています。
『ミシェル・アンリ読本』は、30人ほどの執筆者を擁して、こうしたアンリの思想や文学の全体像を描き出したものです。大変に読みごたえのある、充実した内容となっていますので、ぜひ、お手にとってご覧いただければと思います。
出版社の許可を得て、川瀬が執筆した「まえがき」を貼り付けておきますので参考にしてください。
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